印西市立原山中学校科学部ホームページの作成に関して
1.科学部のページという側面から
原山中学校は北総台地に開発された千葉ニュータウンにあります。地質的には成田層郡が広がっており、その間を完新世の沖積層が湖沼、河川沿いに形成されています。10万年ほど前に古東京湾に堆積したのが成田層(上部から木下層、上岩橋層、清川層に分かれる)で、その後の海進で削られた部分に沖積層ができたと考えられています。そのために、木下層をはじめてとする各層では貝化石を中心に多くの海棲生物の化石が産出します。
このような台地(丘陵部)を中心に様々な地形が広がっているのが印西市です。西には手賀沼が我孫子市、沼南町にあり、東には成田市、佐倉市、本埜村、印旛村などに囲まれ印旛沼があります。また、それにともなう河川が縦横にこの地域を流れています。印西市で見ると北部には手賀沼、利根川水系の弁天川、下手賀川、亀成川など多くの多くの河川があります。南部では印旛沼水系の神崎川、師戸川、戸神川などが流れています。原山中はちょうど北部の手賀沼水系と南部の印旛沼水系にはさまれた台地上に存在すると言えます。
印西市の自然環境を大まかに眺めて見ると北総線沿いの丘陵部はかつて牧草地が広がっていたこともあり、草地がかなり広範に広がっています。北部は利根川、手賀沼周辺に続く低地があり、水田地帯となっています。南部も印旛沼水系の水田地帯が広がっていますが、規模は北部の手賀沼水系のほうが広大です。谷津地形は河川周辺を中心に点在しますが、南部のほうがどちらかというと谷津地形が多いようで、そのまま佐倉市などの谷津の多い地形へとつながっているようです。
生物の生息環境としては、草地、林、水田、小規模河川、割合大きめの河川とそれにともなう河川敷、各種の池など様々な環境が存在します。生態系を見ると、生産者としては多くの種類の陸上植物に加え、河川が多いことから水生植物、藻類の頻度も高い状況にあります。それにともない、多くの種類の昆虫、小動物に加え、魚類が消費者として存在します。高次捕食者しては、タヌキ、イタチなどの哺乳類に加え、フクロウ、オオタカ、サシバ、チョウゲンボウなどの猛禽類が生態系の頂点として君臨します。また、大きな湖沼が多く、河川も多いことから、渡りの時期を中心に多くの鳥類も見られると思われます。
このような自然・生物環境の存在する印西市、原山中の周辺では、様々な自然・生物を身近に観察することができます。向新田などの丘陵部では、草地、林を生活の場とする生物、谷津と里山では身近で、昔から私たちが親しんできた生物、北部の水田地帯や南部の神埼川周辺では多くの鳥や水棲生物、魚類が見られます。また、原山中学校に近い戸神の調整池では水鳥が常に数種類は見られます。その他の調整池や水場でも同様でしょう。
このような環境が身近にあるからには、それを十分に堪能、学習しようというのが原山中科学部の活動の基本です。せっかく身近にある自然なので、それらと戯れること=学習と捉え、活動しホームページに記録していきたいと考えています。外来動植物の問題、環境破壊の問題など様々な問題が話題になる昨今です。それらの問題に真摯に向き合うことは大切なことだと思います。でも、まずは、実際にどのような自然が身近にあり、どのような生物が命をつないでいるのかを見て、知ることを基本に考えていきたいと思います。特に次代をになう子どもたちにとっては必要なことでしょう。そうすれば、自然と、外来種のことも、環境の問題も見えてきます。むしろ、そのようなアプローチの方がそれぞれの問題を多角的に考えることができるかもしれません。
印西市や周辺にお住まいの方で、自然に興味がある方もおられると思います。生物、自然観察については多くの書籍や図鑑が市販されています。しかし、慣れないと実際に見つけた生物の同定は自信がもてないこともあります。そのようなとき、「ここでは、これがいる」という確信がほしいと思うことがあります。そのために役立てればとも考えています。本ホームページでも種の同定に関しては不適切なものがあるかもしれません。そのような場合はどなたでも、遠慮なくご連絡いただければと思います。科学部の枠を超えて、地域の皆さんとともにこのホームページが育つことができれば本望です。
2.理科教育支援という側面から
「身近な自然の教材」というようなことがよく聞きます。しかし、この「身近な自然」はけっして容易く扱えるようなものではありません。都市近郊のこの印西に限って考えてもその全体像を掌握することは大変なことです。「身近な自然」を授業の中や、直前に準備・整理することはほとんど不可能と言えます。
そこで、科学部の活動を通して、少しずつでも「身近な自然」に関わる事項を整理しておくことは理科や総合的な学習の支援の基盤として有用であると言えます。もちろん、科学部の活動の本来の目的ではありませんが、科学部の活動やその成果が他の教育支援という形で生かせると言えます。
科学部顧問 辻田 誠